ジャーマンボリュームトレーニング(GVT)とは?
GVTはその名前から連想される方も多いかもしれませんが、ドイツ発祥のトレーニング方法です。
ドイツのウェイトリフティングチームが筋肉量を増やすために考案したとされています。
「10セット法」として、ウェイトリフティング選手が除脂肪体重を効率的に増やすために、オフシーズントレーニングとして使用されていました。
また、ロサンゼルス五輪で銀メダルを獲得したカナダのウェイトリフティング選手ジャックデマーズの基本的なプログラムでもありました。
ジャックはウェイトリフティング界では巨大な太ももの持ち主としても有名であり、その彼が使うプログラムとしても認知が広まっていきました。
GVTのやり方
GVTのルール
- 同じ重量
- 同じ回数
- 同じインターバル
- 同じフォーム
なぜ同じように保つ必要があるかというと、同じモーターユニット、同じ筋繊維を刺激し続けることを目的としているからです。
個人的にはこのトレーニング理論の核となる部分がここにあると思っているため、しっかりと後述します。
理論まで興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。
GVT基本編
GVTの基本の形は、一言で述べると「10レップ×10セット」のハイボリュームトレーニングです。
具体的には以下の要領で行うトレーニングとなります。
重量 | 60%1RM ※1RM(1回だけ挙げられる重さ)が100kgの場合は60kgが60%1RMに相当する |
---|---|
レップ数 | 10レップ |
セット数 | 10セット |
インターバル | 1分、長くても2分程度 |
実際に行ってみるとわかりますが、初めは余裕を感じますが、5セット目あたりからは物凄いきつくなってきます。
同じモーターユニットを刺激するとは?
モーターユニットとは、一つの神経と、その神経が支配する筋繊維群のこと指します。
みなさんは「悉無律(しつむりつ)」や「全か無かの法則」というものを聞いたことありますか?
簡単に言うと「100か0」ということです。
つまり、筋肉でいうと「使われるか、全く使われないか」の2択しかなく、50%だけ動員するということは起きないということです。
以下簡単な例になります。
1本の筋繊維が、10kgの力を発揮できるとし、その筋繊維が10本あると仮定します。
10×100kgで100kgを持ち上げることができるということは理解いただけると思います。
ポイントはここからで、同条件で、50kgのバーベルを持ち上げる場合に「全か無かの法則」が関わってきます。
この時10本の筋繊維がそれぞれ5kgずつの力を発揮するわけではなく、5本の筋繊維が、10kgの力を発揮し、残り半分は休んでいる状態になります。
この仕組みを利用して、特定の筋繊維のみを刺激し、効率よく追い込み、筋破壊を起こすというトレーニングなのです。
そのため、途中で重量を落とすことや、フォームが変わってしまい異なるモーターユニットを動員することを避けるように「同じ」というキーワードをしっかり意識しなければなりません。
これは実はGVTだけでなく、普段僕らが行うトレーニングにも通じる部分があり、基本的にはメインセットの重量は落とさずに行った方が良い理由は同じです。
セット毎に重量を下げることで、効いた気になっているけど、実は中途半端に複数のモーターユニットを使っているだけ(負荷が分散してしまっている)で、追い込めていない可能性さえもあります。
また、これを裏返すと高重量で行うトレーニングのメリットにも目が行きます。
高重量を扱うことで、より多くのモーターユニットに刺激を与えることができるということになります。
GVTの効果
- 筋肥大を促進
- 新しい刺激
- 低重量のため安全
筋肥大を促進
モーターユニットの部分で書いたように、自分が思っている以上に負荷をピンポイントでかけることができていない場合が多いです。
しかし、GVTではとにかく、対象となった筋肉を集中して追い込みます。
疲労感の違いも、一度試してみれば体感できると思います。
また、インターバルも短いため、効果的に代謝物質を出し、科学的な刺激により筋肥大を誘発します。
新しい刺激となる
実際にGVTの知識がある方もいらっしゃるかとは思いますが、実践されているという方は多くはないのではないでしょうか?
山本義徳さんが提唱するように、同じ刺激に、筋肉はすぐに慣れてしまいます。
そのため、普段とは異なる刺激を取り入れることも筋肥大に効果的であると思われます。
低重量のため安全
やり方の部分で書きましたが、基本的に、GVTで扱う重量は1RMの60%程度です。
ベンチプレス100kgがMAXの人であれば60kgということです。
MAXからある程度低いところでの設定となるので、怪我のリスクもかなり軽減します。
関節に痛みがある方や怪我で悩んでいる方にとっても取り入れやすいトレーニング方法かと思います。
GVT応用編
基本編では「10レップ×10セット」と書きましたが、
応用として、以下のように使用重量を増やし、レップとセットを減らし、さらにピリオダイゼーションと組み合わせたプログラムなどもあります。
1週目 | 10レップ×10セット |
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2週目 | 7レップ×8セット |
3週目 | 5レップ×6セット |
4週目 | 10レップ×3セット |
5週目 | 1週目に戻る |
このように、身体への刺激を常に変えながら行うことも効果的かもしれません。
デメリット&まとめ
このように、柔軟性もあるプログラムで、安全に筋肥大を狙えるという優秀な方法ではありますが、デメリットも存在します。
それは、お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、なんていっても時間がかかるという点です。
1種目でも20分程度は必要でしょう。
ジムで一つの器具をこれほど占領することも、なかなか厳しいでしょう。
なので自宅でトレーニングされる方が増えた今、こういったトレーニングを取り入れてみるのはいかがでしょうか?
高重量を扱えないというデメリットを工夫でプラスに変えようじゃありませんか。